建材を最大限活用する日本の木材生産者に利益は届いているのか?

画一的な木材で効率化するアメリカ  資源を最大限活用する日本

日本の戸建住宅は木造が主流だ。木造といっても軸組工法や2×4工法、
木質パネル工法などさまざまな手法があるが、中でも国内では軸組工法が古くから浸透している。
2×4工法は、2インチ×4インチの断面寸法を多用して建材とするのに対し、
軸組工法は柱・梁・桁・垂木・間柱・土台など、場所に応じてさまざまな寸法の木材を用いる。
この多様な断面寸法から形成された軸組工法が日本の住宅の多くを占めており、
コストの効率化を阻んでいるとも言える。2×4工法はアメリカから輸入された工法であり、
建築の手間やコストなどにおける合理化が図られた工法だ。一方の軸組工法は、
前述したとおり複雑で手間のかかる工法である。しかし、ここで見方を変えてみよう。

丸太からできるだけ多くの建材を得るために、製材する方向や位置を決定することを「木取り」という。
この木取りが効果を最大化すれば、1本の丸太からより多くの建材を得ることができる。
日本で軸組工法が広まった要因として、1本の丸太から柱・垂木・板物をとるなど、
資源を最大限活用するために、さまざまな断面寸法の木材を使用することになったという見方もある。
そして、複雑な寸法を適切に組み合わせ、建築物の構造的な安全性を確保する工法こそ、軸組工法ではなかろうか。

 

参考記事
【光と影】”木材を使うことは良いこと?”日本の林業と木材産業からみたその答え(3)